株式会社ブレインズ・コミュニケーション

2025-10-28 採用活動のポイント

社員が辞めない職場をつくるために　―Part③―: 「従業員の定着について企業が取り組むべきこと」をテーマにした連載は、今回で第3回目になります。
このコラムでは、“オンボーディング”についての具体的な取り組み事例や、“風通しのよい職場づくり”について解説していきたいと思います。; 自社の文化を理解してもらうためのオンボーディング
オンボーディング（Onboarding）とは、新しく入社した社員が職場や業務にスムーズに適応し、早期に活躍できるように支援する一連の取り組みのことをいいます。
語源は「on board（乗り込む）」から来ており、企業という“船”に新たな仲間を迎え入れるプロセスを意味します。; オンボーディングの目的は、業務や社内ルールに早く慣れてもらい即戦力として活躍してもらう「早期戦力化」を実現することです。
そして、会社のビジョンや文化への共感を育む「エンゲージメントの向上」を目的とします。; 新しい職場環境に対する不安や孤立感によって早期離脱するようなことがないように、経営・人事・配属される組織が一体となって、新しい仲間を迎え入れる必要があります。; オンボーディングは、入社前から始まっている
内定承諾から入社までの期間に不安を感じた人は、調査対象の内定者全体の約8割に及んでいます。（d’s JOURNAL編集部by DODA調べ）
特に「仕事・人間関係・職場環境」に関する悩みが多く、自分の能力で仕事についていけるか、失敗しないか、上司・先輩・同期とうまくやれるか、孤立しないか、職場の雰囲気や価値観が自分に合うか、困ったときに頼れる人がいるかなど、不安要素は尽きません。; そんな折に、内定先企業から声をかけてもらえると、安心感をもたらすだけでなく、入社意欲が醸成し、早く新しい職場で仕事したい、といったポジティブな気持ちに変えていくことができるでしょう。
採用された方も、採用する方も、双方の不安は「準備」と「対話」で乗り越えていくことが重要です。; 入社前に実施できる具体例を挙げるとすれば、「配属先の上長とカジュアル面談の実施」「職場見学」「実際の職場でアルバイト体験」などがあります。
また、職場で行われている「サークル活動への参加」など、実際に職場で一緒に働く人たちと交流する機会を作って、積極的にお誘いしてみるのも有効です。
さらに入社タイミングでは、「ウェルカムボード」で採用者をお迎えし、同じ職場の一人一人と自己紹介の挨拶を交わし、教育担当やメンター役になる先輩とは初日からコミュニケーションの量を増やすなど、組織の一員としての自覚を促す働きかけと行動が必要です。; オンボーディングを成功させる5つのポイント
採用者のスムーズな受け入れと採用後の早期離脱を防ぐには、“人が組織に根づく体験”をどう設計するかが大変重要になります。
業務の指導はもちろん、懇親を深める機会やメンターをつけるなど、定着を促す取り組みを時間をかけて丁寧に実行していきます。; ✅【Point1】入社前からの信頼構築
＜めざす姿＞
・入社前に不安やギャップを解消
・会社の雰囲気やリアル感を伝える; ＜活動内容＞
・入社前に人事や配属先とカジュアル面談を実施、入社後に働き方のミスマッチがないよう、この段階での不安をすべて払拭
・ウェルカムボードで「あなたを待っていた」という歓迎の姿勢を明確に出す; ✅【Point2】教育体制の整備と“スモールステップ”設計
＜めざす姿＞
・導入スケジュールの見える化による期待感と安心感の醸成; ＜活動内容＞
・「何を、いつまでに、どこまでできればOKか」を見える化
・OJTだけでなく、動画・マニュアル・FAQなどの自習コンテンツも併用し、段階的な目標設定で達成感を積み重ねる; ✅【Point3】メンター制度と多面的なサポート
＜めざす姿＞
・相談相手の明確化; ＜活動内容＞
・上司とは別に、年齢や立場が近い先輩をメンターに任命し、業務だけでなく、人間関係や社内文化の“橋渡し”も担う
・「誰に相談すればいいか」明確な状態をつくる; ✅【Point4】組織文化への自然な接続
＜めざす姿＞
・企業文化や風土の浸透
・先輩社員との交流機会創出; ＜活動内容＞
・社内用語や暗黙知をまとめたカルチャーブックの提供
・シャッフルランチ会や、雑談チャットなど、非公式な交流の場を意図的に設計; ✅【Point5】定期的な振り返りと改善
＜めざす姿＞
・会社とのエンゲージメント力を測る
・オンボーディングの取組みの見直し; ＜活動内容＞
・1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月などのフォロー面談で、業務・人間関係・キャリアを確認
・本人の声をもとに、オンボーディング施策を柔軟にアップデート; “風通しのよい職場づくり”で、組織の活力を高める
社員が安心して意見を言える環境を整え、心理的安全性と信頼関係を育むことで、定着率や生産性が向上します。
「役職を問わず意見が言いやすい」「否定される不安なく、安心して話せる」「雑談やチャットツールを通じて情報共有がスムーズ」「情報がオープンに共有される」「自主性が尊重され、自分で考えて動く」といった風通しのよい職場環境により、ワークエンゲージメント（仕事への熱意や活力）を高める効果があると言えるでしょう。; 【風通しの良い職場のメリット】
・チームの創造性や生産性が向上
・離職率の低下につながる
・問題の早期発見・解決が可能
・エンゲージメントやモチベーションが高まる; しかしながら、時に風通しの良いオープンコミュニケーションが、誤解を招く恐れもあるので注意が必要です。; 注意点としては、以下のような場合があげられます。
・「なんでも自由に言っていい」ではなく、節度ある対話が前提
・「仲良しグループ」ではなく、目的に向かって協働できる関係性が重要
・フラットさが行き過ぎると、責任の所在が曖昧になるリスクも; “風通しのよい職場づくり”が、高い成果と定着率向上に繋がる
風通しのよい職場づくりが、高い成果と定着率向上に繋がる理由がこちらになります。
・相談できる＆意見が言える職場では、ストレスが溜まりにくく離職率が低下する
・自分の意見が尊重されることで、仕事への没頭感（エンゲージメント）が高まる
・改善提案や挑戦が活発になり、組織全体の生産性が向上する; 風通しの良い職場づくりの具体的な取り組みとして、「アサーティブ・コミュニケーション研修」を行っている企業もあります。
「アサーティブ・コミュニケーション」とは、自分の意見や感情を率直に伝えながら相手の立場や気持ちも尊重するコミュニケーションのあり方です。
攻撃的でも受け身でもない、バランスの取れた自己表現が特徴です。; 実務を磨く指導や研修に加えて、こういった研修でコミュニケーション力を磨くことでメンバー同士の相互理解が深まり、業務の質や生産性の向上に繋がります。そうすることで仕事に対するモチベーションがキープされ、従業員の定着が可能になるのです。

Tags：	社員の定着｜採用活動

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執筆者WRITER
- 森薫日本シニアライフ株式会社
  代表取締役社長
- 広報株式会社ブレインズ・
  コミュニケーション
- 酒井一謹株式会社サンライズ
  代表取締役社長
- オカモトブレインズ
  Indeed運用のプロ
- 夏苅雅貴株式会社ルーティングフォー
  代表取締役